木の職人さん

昔インドネシアのジャワ島はヒンドゥー教が主な宗教でいくつかの王族が支配していましたが、 16世紀ごろ、イスラム教を信仰する勢力が登場し、ジャワ島の 僧侶や王族が職人を連れてバリ島に逃れることとなりました。 バリ島で工芸品が発達したのは、この地がたどってきた歴史が関係しているようです。

私がバリ島に魅せられた理由は素材の種類の多さ、緻密な作業を得意として 苦もなくこなしてしまう職人さんの器用さ、そして彼らの完成度に対するセンスです。 作り方、注意点を見せてこのクオリティーで、と要求すれば、ちゃんと理解してくれ、毎回イタリア製並みの品質までに持って行ってくれます。

3年前、はじめて 色々な素材の職人さんの工房を見て廻ったとき、無限の可能性を秘めたものと出会ってしまった、、とドキドキしたものです。バリ島の職人技術を使って、なにか面白いものを作ってみたい、そして絶対使いたいと思ったのが木彫。木彫のお店やギャラリーでは木彫の技術や緻密さに圧倒されました。

114 FLOWERRose Wood + Caw Leather

アスカマスダの木のバッグやパーツはギターや家具などに使われる高級木材、紫檀=ローズウッドの手彫り。(通常紫檀は森林保護のため、伐採がかなり制限されていますが、インドネシアでは植林栽培されています。) 島の北部のタンパクシリンという村の木彫の工房で作られています。 タンパクシリンはウブドの北に位置し、ティルタウンプルという聖なる泉が湧く寺院がある村として良く知られています。木の職人村としても有名です。

職人さんは写真のように床に座って、とても辛そうな姿勢で黙々と木を彫り続けます。 見ていてあまりに辛そうなので、安い机を用意しようすると、それじゃ仕事ができないから、と断られました。 肩や腰痛くならないの?と訊きくと、まあ時々ね。と、あまり辛そうじゃない。 見ているこちらの首が痛くなってきそう。木の職人さん、バッグ職人さんたちはこの姿勢でとても細かい、緻密な仕事も難なくこなしてしまいます。

職人さんの作業の姿勢、 田んぼ仕事の腰を曲げた姿勢、休みを挟むことも多いとはいえ、なぜ長時間この姿勢を続けられるのでしょう? 数多いバリ島の謎の一つです。